“新世代のプレミアムカード” 日本進出の挑戦記(前編)

~クレジットカード業界の革命児、ラグジュアリーカードアジア・日本地区代表に聞く~(前編)金融業界を席巻しつつあるFinTech(フィンテック)。モバイル決済が世界的に普及するなかで、クレジットカード業界にも新たな機運が高まっています。 そんな中、アメリカのエグゼグティブの間で大きな話題となっているラグジュアリーカード(http://www.luxurycard.co.jp/)。2008年にアメリカで創業されたラグジュアリーカードは、富裕者層を主な顧客とするクレジットカード会社です。海外進出の第一弾として、2016年11月に日本での事業を開始。その事業の立ち上げを一手に引き受けたのが、ラグジュアリーカードアジア・日本地区代表として活躍する林ハミルトンさんです。日本初のMastercard最上位商品「World Elite Mastercard」を採用し、3種類のプレミアム クレジットカード「Mastercard® Gold CardTM」、「Mastercard® Black CardTM」、「Mastercard® Titanium CardTM」を提供しています。林さんは日本事業の立ち上げにおいて、どんな困難を打ち破ってきたのでしょうか。ゼロからブランドを構築するうえでの工夫や、クレジットカード業界の今後、ラグジュアリーカードのビジョンについてお聞きしました。

――これまでのキャリアとともに、ラグジュアリーカードの日本での事業立ち上げを志すことになった経緯を教えてください。

2001年からニューヨーク州に本社を置くCitigroup(シティグループ)に勤めていました。シティグループは世界160以上の国と地域に展開するグローバルな金融機関です。企業の資金調達などを手掛ける投資銀行業務やIR、事業提携などの経験を積んできました。2007年にはCiti Cards Japanのさらなる成長のサポートに関わり、日本で数年間働いたこともあります。そして2012年にニューヨークに戻り、JPモルガンチェースにて数年間事業開発に携わった後、2014年に再び日本を訪れました。そのとき、日本のクレジットカード市場が3年間の間で他国と比較的に進化してないことに大きな驚きを覚えたのです。アメリカでは、各社がカードのサービス内容を常にリニューアルしています。一方、日本のプレミアムカード市場では、大手クレジットカード会社が大きなシェアをとっていることもあり、安定路線を貫いているように映ったのです。クレジットカードというと「商品を購入する際の決済(支払)手段」という枠でとらえられることがほとんど。ですが、こうした枠組みにとらわれず、もっとライフスタイルを豊かにするサービスとして打ち出せるのではないか、という考えが浮かんでいました。そんなとき、ラグジュアリーカード創業者から世界展開を日本市場のトップとして率いてくれないか、とオファーをもらいました。新世代のプレミアムカードをつくり、クレジットカード業界を変革していく。そんな創業者のビジョンに大きな共感を覚えました。

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――オファーを受けるにあたり、グローバル企業から飛び出すことに迷いはありませんでしたか。

もちろん最初は迷いがありました。シティグループとJPモルガンチェースでは新しいプロジェクトに参加し、充実した日々を送っていましたから。しかし一方で、大規模な組織である以上、高いポジションに就くほど、社内調整や会議に時間をとられることに葛藤がありました。仕事に時間を投入するなら、顧客への価値提供に集中したいと考えていたからです。また、グローバル企業のブランドに頼らず、経営者というマインドをもって自分自身の力でどこまでやれるか試したい、という気持ちもありました。そうなると、事業立ち上げというチャレンジができるのは、またとないチャンスに思えました。何より、創業者がラグジュアリーカードの古参のメンバーではない私にすべて任せて、信頼してくれているという事実は、日本事業立ち上げに身を投じようと決断する後押しになりました。彼の期待を超えた成果を出したいという思いが強まっていったのです。

――ラグジュアリーカードが数ある国の中から日本に進出を決めた理由は何でしたか。

進出先を決めるうえでの大前提は、「カードからステータスを望み、高い年会費に違和感がない」という発想の富裕層がすでに存在する国・地域であること。となると、日本、シンガポール、香港が射程に入ります。そのうえで、創業者は、「市場開拓では一番難しい国からチャレンジせよ」という考えの持ち主です。保守的といわれる日本の金融業界で成功をおさめれば、今後の海外展開への大きな足掛かりになるという考えから、日本への進出を決めました。

――ラグジュアリーカードの特徴、魅力はどんなところでしょうか。

一つは、カード自体の高いデザイン性と、それがもたらす「特別感」にとことんこだわったことです。3種類のラグジュアリーカードすべてに、特許取得済みの金属製デザインを採用し、最上位のゴールドカードには24金コーティングを施しています。ロゴの加工に用いたのは削り出し加工という特殊な技術で、20分以上かけて仕上げてます。これだけカード本体にこだわるのは、ラグジュアリーカードが単なる決済機能を果たすだけではなく、お客様がカードを取り出すたびにワクワクするような感覚を味わっていただきたい、という願いがあるからです。また、グローバルコンシェルジュサービスでは、各分野のさまざまなエキスパートが365日24時間対応しています。依頼の内容は「大事な顧客の接待にぴったりのお店を探して予約してほしい」「海外転勤をするので子どもが安心して学べる学区がどこなのかを調べてほしい」「彼女にプロポーズをするのでプランを練ってほしい」など実に多彩。プライベートでもビジネスシーンでも使えるパーソナルアシスタントのようなサービスです。顧客への多様なニーズに対応することが不可欠なので、コンシェルジュの育成やダイバーシティの維持にも注力しています。――日本で拠点を立ち上げ、新たなクレジットカードをつくるというのは、非常にチャレンジングな事業だと思います。事業化にあたり、具体的にどのようなステップを踏んでこられましたか。ラグジュアリーカードの展開においては、クレジットカードの発行を担う銀行との提携が欠かせません。最初の大きな課題は、提携銀行を探すことでした。たった一人で日本のあらゆる銀行をまわりながら、2年半近く提携の提案を続ける日々。支えになったのは、これまでシティカードジャパン時代にお世話になってきた方々が、私の所属企業や肩書きを問わず「林さんを応援したい」と、私個人を信頼して、協力してくださったことでした。こうした協力のおかげで、新生銀行というパートナー企業との提携合意にこぎ着けることができました。また、Mastercardと提携することによって、Mastercard®の全世界を網羅した加盟店ネットワーク、世界210カ国以上4,330万ヶ所以上で利用できるようになりました。富裕層戦略を強化したいという、日本のMastercardの狙いが、ラグジュアリーカードの目指す方向とうまく合致しました。(後編に続く