福岡市スタートアップカフェが起業家を惹きつけてやまない秘密に迫る!

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「スタートアップの裾野を広げ、誰でも気軽に起業相談ができる空間を」。それを体現するのが、福岡市スタートアップカフェだ。政府は成長戦略にて、現状の開業率5%を10%に引き上げる目標を掲げているが、福岡市では、スタートアップカフェなどの事業により、福岡市の開業率が2012年6.2%→2014年度7.0%に上昇したという。短期間で目覚ましい成果を生み出し、起業家や起業家の卵を惹きつけてやまないカフェの秘密は何なのか?福岡市市役所の創業・大学連携課の富田 雅志さん、岡崎 敏治さんにお話を伺った。福岡市スタートアップカフェでは、ワンストップ開業窓口、コンシェルジュ常駐など、画期的な施策を講じておられます。設立の決め手は何でしたか。岡崎 敏治さん(以下、岡崎):一番の目的は、「起業相談の敷居を下げること」でした。このカフェが生まれたきっかけは、市で元々行っている起業相談窓口の認知があまりなされておらず、どこか「相談しにくさ」を感じていた、という福岡市に拠点を置く起業家たちの声でした。ある調査によると、福岡市は創業へのマインドも実行に移す割合も、全国の政令都市と比べて非常に高い。にもかかわらず市に相談に来る人が少なく、知人や友人に相談していたというのです。そこで、民間企業に委託し、若い人たちにも足を運んでもらいやすい立地で、福岡市スタートアップカフェという「気軽に起業相談ができる場」をつくることになりました。具体的には、スタートアップに関する情報提供、専門家への相談、創業手続き支援を一手に引き受けるワンストップ機能、人材マッチング支援機能を有しています。カフェには起業をめざす人、起業を応援したい人が集い、そこかしこで「つながり」が生まれています。午後9時まで相談受付を行っているほか、土日もオープンしていることから「気軽に立ち寄りやすい」という声を多数いただいています。福岡市スタートアップシーンは今、どのような状況にあるのでしょうか。岡崎:現在、福岡市はグローバルベンチャーの創出という目標にむけたネットワーク支援などの施策が評価されて国家戦略特区に認定されています。高島市長の発信力の高さも相まって、市や民間企業、専門家が一体となって起業を盛り立てていこうという機運が生まれています。また、場所を問わないビジネスモデルが増える昨今、都心に会社の拠点を置く必然性は減っているといえます。住民の満足度調査においても、福岡市の住みやすさは非常に高いことが明らかになっており、「人生トータルの満足度」という視点で、「福岡で起業したい、働きたい」とUターン、Jターンを選ぶ人も増えているのです。また最近では、外国人の起業相談も増加の一途をたどっています。グローバル展開を見越したスタートアップは、アジア圏との近接性という福岡市の地理的優位性から、アジア進出の拠点として福岡市への注目が高まっているのです。こうして、スタートアップカフェ設立後には、年間300件前後だった起業相談件数が、約1500件にまで増えています。ありがたいことに、こうした福岡のポテンシャルに興味を持つ民間企業が、2016年4月時点で30社以上も協賛してくれており、「スタートアップクラブ会員」の登録者向けに、例えばクラウド決済サービスといった、起業支援ツールやサービスを提供してくれています。全国各地の企業や人が福岡にますます注目しているのですね。福岡市スタートアップカフェを活用することで得られるメリットは何ですか。富田 雅志さん(以下、富田):主なメリットの1つは、コンシェルジュが事業案の具体化にとことん親身につきあうというスタンスです。起業と言っても漠然とした相談も多いのですが、事業計画書がない相談者に対しても、「事業を実現させるには、どんなリソースが足りないのか」を、どう数字に落とし込めばいいのか、気づきを与えていくというコンシェルジュの方針は、このカフェならではの魅力だと考えています。岡崎:ある利用者からは「開業時に代表者印が必要なことすら知らなかったけれど、行政書士のコンシェルジュから、手続きの流れや注意点を一から教わったおかげで、スムーズに会社を立ち上げることができた」という声をいただいています。そしてメリットの2つ目は、様々な起業家、企業、専門家が行き交い、交流しているので、その場で合いそうな人、スタートアップをつなげられることですね。やはり事業を軌道に乗せるうえで大事なのは、結局のところ「人と人との関係、つながり」に尽きるため、顔を合わせられる距離でネットワークが生まれていくのは大きなメリットではないでしょうか。今後福岡でスタートアップのエコシステムをさらに発展させるために注力したい施策についてお聞かせいただけますか。富田:まずは人材のマッチング機能を強化していきたいですね。2016年3月末から、利用料無料の「人材マッチングセンター」を開設しており、優秀な人材獲得を希望する有望なスタートアップと、スタートアップへの就職希望者がうまく関係構築できるよう後押しをしています。また、スタートアップのゴールとしては、上場だけではなく、事業売却など多様な選択肢があります。その可能性を最大化するためにも、後継者を探している経営者や社会貢献に対する意識が高い経営者、スタートアップとの連携を強めたい経営者とのリアルな出会いの場をつくることも重要だと考えています。さらには、福岡のスタートアップが「外の現場にふれられる機会」を得られるよう、海外のスタートアップの視察や、人材のマッチングにつながる施策にも注力していく予定です。今後は、福岡市が台風の目になって、スタートアップのエコシステムづくりを加速させていきたいですね。