日本のスタートアップ企業「株式会社フロムスクラッチ」が語る、外国人雇用について(前編)

株式会社フロムスクラッチ 三浦將太

株式会社フロムスクラッチ 三浦將太

世界的な経済誌であるForbes JAPANに二年連続で「スタートアップ有望株7社」として選出された、データテクノロジーカンパニーの株式会社フロムスクラッチ。これまでに累計45億円の資金調達もしている成長スタートアップです。短期的に計画している世界展開などを見据え、急速な人員拡大を図る同社では、国籍を問わず優秀な人材採用にも積極的に取り組んでいます。 日本人が大多数を占める企業において、外国人採用というと、まだまだ敷居が高いと受け止められている傾向にあります。文化の違いや言葉の壁といった理由が挙げられる中、今回、フロムスクラッチ執行役員の三浦 將太さんにお会いし、同社が外国人採用をどのように対応しているのかお話を伺うことができました。マーケットで先行するイメージに反する現状、初めて外国人採用を行った体験、また今後外国人採用を検討している企業へのアドバイスについてご紹介します。 

―  一番最初に外国人の方を採用した時は、どういう感じだったのですか?

日本に長く住んでいる韓国籍の方でした。人生の半分は日本で過ごしていて、もう半分は韓国とカナダで暮らしていたという人なので、日本のことも分かっているし、文化面での衝突も特に無く、スムーズに採用になったという感じです。良いと思った人がたまたま外国籍の方だった。それだけですね。入社前の段階でビザなどを含めた手続きの煩雑さなどはありましたがそんなものはどうにもなります。その人のスキルはもちろん、人柄、会社の文化や考え方とのマッチングの方がはるかに重要です。その方はどの会社が見ても優秀な方でしたし、会社文化とのマッチングも見込めたので心配はありませんでした。入社後もとても活躍してくれています。  

会社の文化や考え方と具体的に言うと?

フロムスクラッチはまだまだスタートアップ企業なので、会社の成長と同時に色んな変化が起きます。例えば、事業や組織の成長に応じて、3か月単位で個人の業務ミッションが大きく変わる可能性も発生しえます。事業や組織の成長に合わせて、柔軟に自分の役割も変えていかなければいけない場面が多々あるのです。そのようなスタートアップ環境の中で、例えば「やりたいことはこの業務です。この業務をするために入社しました。といったように、業務自体に魅力を感じている候補者の方にご入社いただくと、その業務が担当できなくなった途端に退社につながる可能性が高まります。会社に対して、自分には何が与えられるのか、何ができるのか、といった待遇・報酬を優先的に求める方ではなく、「自分も一緒にこの会社をつくり上げていくんだ」というマインドを持った方の採用が、スタートアップ企業では重要です。これは国籍に関係なく言える事ですね。  

カルチャーフィットがすごく重要なんですね。

その通りです。多くの会社もそうだと思いますが、フロムスクラッチでもカルチャーフィットを最もプライオリティの高い採用要件にしています。能力がとても高くても、カルチャーフィットが期待できず、ご縁がつくれなかったケースはたくさんあります。先ほどの例にも戻りますが「これがやりたい」とか「役職が欲しい」、「給料を上げたい」といった欲求は、当然ですが皆持っています。これ自体が悪いわけでもありません。しかし、スタートアップの場合、そしてとくにフロムスクラッチの場合は、「そういったものよりもまず会社を成長させて、描いているビジョンを実現するんだ」、「会社を変えていくのは自分たちなんだ」といったマインドを持っている方のほうがフィットします。そういった点を確認するためには1時間1回の面接では到底わかりません。そのため、場合によっては複数回来社いただき、カジュアルに互いの価値観をぶつけてマッチングを図っていく選考プロセスも取り入れています。これも当然、国籍は関係ありません。  

―価値観がマッチしているか判断するために、どういったところを見ていますか?

何か質問をして、その回答結果に応じて「OK」「NG」と判断をするのは難しいと思います。例えば、人間には確証バイアスに代表される“認知バイアス”が多くありますので、質問の受け手も出し手も、「自分が/相手が期待する質問・回答」をしがちです。でも、それがその人の本当の考えだとは限らない。だから質問をしてどうこうというよりは、面談を重ねて、お互いの考え方を徹底的にすり合わせ、そのうえで「一緒に働きたい」とシンプルに思えるかどうかが重要です。どちらかがどちらかを一方的に評価することは、採用シーンにおいてはすべきではないと考えています。具体的に言えば、「フロムスクラッチには〇〇な考え方を持っている人は向いていない、〇〇な考え方を持っている人が多くいる」といった内容を面接段階で直接伝えることもあります。会社のカルチャーやスタイルを徹底的に伝えていき、それを受けた候補者の方がどう感じるかが重要です。「楽しそうだな、自分に合ってるかもな」と感じていただいたらフィットしていることだと思いますし、逆に「ダメだな、違うな」と思ったら、違う会社に行った方がいいということも伝えます。自分を繕って入社することは本質的ではないですし。この価値観をすり合わせるプロセスは、国籍問わず全員にやります。国籍だとか文化とか、その人のバックグラウンドによって見方を変えることはありません。Diversity(多様性)を重んじるファーストステップは、双方のバイアスを取り除くことです。(後編につづく)