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クライアントのビジネス・トランスフォーメーションを成功に導く社内起業家(後編)

クライアントのビジネス・トランスフォーメーションを成功に導く社内起業家(後編)

KPMGは、監査、税務、アドバイザリーサービスを提供するメンバーファームのグローバルネットワーク。その日本におけるメンバーファームのKPMGジャパンは、上記の専門的なサービスをクライアントに提供し、企業の広範な活動を支援するプロフェッショナル・ファームです。

KPMGのディールアドバイザリーにてパートナーを務めているポール・フォード(Paul Ford)さんは、これまで多くのクライアントに対して、インターネット/ソフトウェア事業のM&A、事業再編・事業再生の戦略策定と実行を総合的に支援してきましたが、現在はそれと並行して、クライアント企業や自社を取り巻くビジネス・トランスフォーメーションを見据え、それに対応するための新規事業プロジェクトに取り組んでいます。社内起業家(イントラプレナー)としての新たな挑戦に至った背景は何なのか。社内起業家として成功するための秘訣とともにお聞きしました。

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             KPMGのポール・フォード(Paul Ford)さんのモチベータープロフィール

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――社内起業家として求められるマインドやスキルセットは、一般的な起業家のそれとは、どのような違いがありますか。

いずれも不確実性が高くハイリスクな環境下に置かれるという点は似ていますが、大きな違いがいくつかあります。まず、社内起業家であることのメリットから話しましょう。それは、顧客をすでに多数抱えており、各ドメインの知識や経験に富んだ、エンゲージメントの高いスタッフに恵まれていることです。それにくわえて、会社の財政的なリソースを使えるという安全性や柔軟性も、社内起業家の大きなメリットとなります。

一方で、社内起業家特有の課題、デメリットもあります。それは一般的な起業家のようにすばやく柔軟に意思決定し、運用するのがしばしば難しいこと。独立した起業家であれば、社内での承認プロセスが少ない場合が多いので、社内政治や説明資料の準備といったことに労力を割かなくてもよいのです。

また、社内起業家の場合は、既存事業の売上と利益を継続しなければいけません。社内のリソースという観点に立つと、新規事業にそのリソースを割くことで、短期的には資金が逼迫する可能性がある。そこで、いかに短期的な資金の課題をクリアしつつ、長期的な視野でビジョンを描き続けられるかという課題と常に向き合うことになります。

ありがたいことに、KPMGジャパンでは社内起業家としての恩恵を享受しながら、独立した起業家に限りなく近い姿勢で取り組めています。それは、KPMGジャパン内に、挑戦者をサポートしようというスタートアップ的な精神が根付いているからです。その意味で、私は非常に幸運に恵まれていると思っています。

 

――基幹事業と異なる新規事業を創出する際には、課題にぶつかることがあると思います。例えば、新たな人材が必要になって雇用する場合、既存の公認会計士から懸念が噴出する可能性もあるでしょう。こうした課題に対処し、社内起業を成功させるために重要なことは何ですか。

その問いに対して大事なのは、次の5点です。1点目は、経営陣などトップマネジメントが新規事業に対する理解を示し、そのサポートにおいて強いリーダーシップを発揮することです。

2点目は、社内起業に対して、誰が反発し、阻止をもくろんでいる人物なのか、誰が味方なのかを把握すること。前者に引っ張られないように冷静に距離をとりながら、変化に対して前向きな人材を味方につけることです。変化に夢中になれる人、新しい挑戦が好きな人に、どんどん社内起業に関わってもらえば、成功確率は高まります。

3点目は、壮大で魅力的なビジョンを掲げることです。このビジョンが明確で、社内起業家自らの言葉で語られていると、それに共感し、応援しようというメンバーが増えていきます。

そして4点目は、小さな成功を積み上げ、目に見える成果を示すことで、「この新規事業を進めればより大きな成功を手にできる」という実感を、社内に染みわたらせることです。そこで新規事業への勢いを一気に高めることができます。

5点目は、これは日本では特に重要なことですが、もし新規事業がとん挫したときは、社内起業家としてリードしてきた自分自身の責任だと明示し、一方で事業が成功したときは、関わったチームメンバーみんなのおかげだという姿勢を見せることです。すると、失敗したときに責任を負わされるのではないかという恐怖が薄れ、成功したときにはチームとしての一体感を高められます。

 

――成果をチームのおかげだという姿勢を示すのですね。ポールさんが新しいことに挑戦する情熱の原動力は何なのでしょうか。

第一に最高の成果を出し、クライアント企業や社会に貢献したいという想いです。特に、PEファンドのクライアントの投資先がより大きな利益を上げられるように、最大限の力を発揮し、サポートしたいと考えています。

第二には個人的なドライブですが、世の中の真理が知りたいという私自身の探求心です。人間が自分を取り巻く世界を認識するには限界があります。しかし、テクノロジーの発達や大量のデータ解析によって、私たちはこれまでになかったような新しい角度や切り口から世界を知ることができるようになっている。その動きを加速させ、もっともっとこの世界のことを深く知りたいと思っています。

第三は、アイデアを形にして新しいものを創造したいから。これは人間の本能に根差しているといっていいでしょう。

これら3つが社内起業の原動力になっています。新規事業を成功に導けるかどうか、最後はリーダーである自分次第です。「チームの力を最大化して、何が何でもミッションを成し遂げる」という強い責任感をもてるかどうか。社内起業を率いる人物が、情熱と覚悟をもって行動し続けられるかどうか。これらが新規事業の成否を大きく左右すると考えています。

 

――貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。